アトピー性皮膚炎のお話し2020年11月
皮膚科松本 高明

2020年11月10日のネットニュースで、某大臣がSNS上で「某大臣て腎臓が悪そうな顔色なんだけど、ただの地黒なんやろか」というコメントを拾って「ただのアトピーだい。」と返したことが話題となっていました。
同記事によれば某大臣は以前にも「某大臣、顔赤くね?」というコメントに対し「アトピーだ、文句あっか。」と返したことがあり、これには8万人以上の「いいね」がつき、約1万人にリツイートされたようです。

これがアトピー性皮膚炎を患う患者さんの嘘偽らざる本音なんだろうな、と共感する一方で、そこにはあきらめにも似た気持ちが感じ取られ、少し残念に思いました。現在は治療の選択肢も増えて、適切な治療を行えば一見アトピーだとわからないくらいのきれいな肌を維持することが可能です。

肌の構造はしばしばレンガの壁に例えられます。レンガの部分が皮膚を構成するひとつひとつの細胞(角質細胞といいます)で、モルタルの部分が天然のうるおい成分(角質細胞間脂質といいます)です。アトピー性皮膚炎ではこのうるおい成分の低下とレンガの材料となるタンパク質の発現低下が確認されています。

これらのことからどのようなことが起きるかというと、

  • 内側から水分が蒸散しやすくなり肌が乾燥する
  • からだの外側から異物が体表面に侵入しやすくなる
  • 免疫を司る細胞が異物をとらえてアレルギーが成立しアレルギー体質になりやすくなる
  • これらの刺激によりかゆみを感じる神経の枝が伸びて感覚過敏が生じる

以下のように例えることができるかもしれません。
すき間のある壁からは水分が失われやすく外からのチリやホコリが舞い込みやすくなっています。その症状を放置すると家の中が乾燥し、ほこりっぽい環境に住人はなんだかイライラしやすくなっている…。
さらに、肌からの異物の侵入を放置するとアレルギーが起きやすい体質が形成され、かゆみが起きやすく肌あれしやすい体質となります。だからこそ起きている炎症を鎮め、壊れやすい壁を修理、保全する継続的な治療が必要となります。

治療

遺伝的要因を治す薬は現在のところありません。しかし、きれいな肌を維持することは可能です。ぜひ治療の目標を、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、その状態を維持することにしてみてください。これまでよりかゆみなく、きれいな肌が手に入るはずです。

現時点においてアトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静するための薬剤で、有効性と安全性が科学的に十分に検討されている薬剤はステロイド外用薬とタクロリムス軟膏です(2020年1月にJAK阻害薬のデルゴシチニブ軟膏が承認されました)。ひと口にステロイド外用薬と言っても、そこには大きな分類だけでも5段階の強さによるクラス分けがあり、また同じ身体であっても部位によりその吸収は大きく異なります。適切な薬剤を適切な身体部位に、正しい量を正しい回数塗布することが大事です。

現在推奨されているのはプロアクティブ療法です。これは、よく繰り返す皮疹に対して、しっかりかゆみやあかみを治した後にも保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を定期的に塗ってよい状態を維持するという治療法です。アトピー性皮膚炎ではあかみやガサガサが軽快して一見ふつうに見える肌も、顕微鏡で調べると炎症が残っていて再び炎症を引き起こしやすい状態にあることがこの治療法が良いとされる理由です。

かゆみ、肌荒れと上手につきあい、きれいな肌を手に入れましょう!

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