噛めることの重要性【歯周病編】2019年4月
歯科植田淳二

歯周病が発症するリスク因子して「宿主」「細菌」「環境」の3つが挙げられます。

①「宿主」
年齢、性別、遺伝的要因、体の免疫反応、全身疾患、噛み合わせ、などといった個々の体質により「歯周病」の発症しやすさや進行しやすさが変わってきます。予防方法が個人により異なるため、歯科医師と相談ください。

②「細菌」
むし歯の原因となる細菌と、歯周病の原因となる細菌は、種類が違い性質も異なります。口腔内を清潔に保つことで感染を防ぐことができますが、細菌の性質がそれぞれ違う為、清掃器具・清掃方法などを歯科医師・歯科衛生士と相談することをおすすめ致します。

③「環境」
喫煙、食生活、飲酒、運動などの生活習慣、薬剤の服用、予防習慣(歯磨き)などにより、歯周病の発症リスクが変化します。特に喫煙は「歯周病」を発症させやすくするため、禁煙をおすすめ致します。

これら3つのリスク因子が重なることで「歯周病」が発症・進行しやすくなります。

図1は健康な歯茎の状態、図2は歯周病の歯茎の状態です。
歯の周りに歯磨きの磨き残しとして、歯垢(プラーク)がたまります。歯垢がたまり数週間放置すると、細菌や唾液などと作用して歯石になります(個人差があり)。歯垢は歯ブラシで除去することができますが、歯石はクリニック専用の器具でなければ除去することができません。歯垢や歯石が歯茎に炎症を起こし、赤く腫れ出血しやすい環境になります。この状態を放置しておくと、歯の周りを支えている骨である歯槽骨を溶かしてしまいます。歯槽骨が溶けることで、歯と歯茎の間に隙間ができ、その隙間に更に歯石が形成され、歯の根の先に向かって歯槽骨を溶かしていきます(図2参照)。その結果、歯の動揺(グラグラと動く)・痛みを認め、歯を抜かなければならない状態になります。

自己判断で放置するのは厳禁!「歯周病」の怖さ。

歯周病は痛みなどの症状が出にくい、重症化し症状が出てから来院された場合、外科処置などの治療が必要となることが多いです。そのため、定期的に歯周病の検査を行い、早期発見・早期治療を心がけましょう。

歯周病は全身疾患とのつながりもあり、心臓・血管系疾患、関節リウマチ、認知症、呼吸器系疾患、消化器系疾患、低体重児出産の発症リスクの上昇、また骨粗鬆症、糖尿病、肥満も相互的に発症・進行のリスクが上昇することが分かっています。
このように歯周病は全身疾患とも深くつながり、発症・進行をさせてしまうため、歯周病の予防・治療を行ないましょう。

歯周病により溶けてしまった歯槽骨はもとには戻りません。
軽度であれば回復する可能性がありますが、重症化すると特別な材料を用いての治療を行わなければなりません。また、この特別な材料を用いても、全てが回復するわけではないため、セルフケア・メインテナンスが難しくなってしまいます。そうなることを防ぐ為に、歯周病が発症しないよう心がけ、発症したとしても重症化する前に治療を行い、歯周病が悪化しないようにしましょう。

歯周病は治療を行っても、メインテナンスやセルフケアをきちんと行わなければ、再発する確率が高い病気です。
歯周病に罹患していることに気付きにくく、再発率が高いことから、現在の日本では40歳以上の方々で歯周病に罹患している人が60〜70%になるといわれています。

早期発見・早期治療のために、定期的な歯科検診を心がけましょう。

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