
▼ 上海グリーンクリニック便り ▼
第16号2006年12月
今月のドクターワンポイントアドバイス
「上海でよくみられるSTDについて」
STDとは性行為に関連してうつる病気ですが、クラミジア、尿道炎、淋菌感染症、梅毒、A型及びB型肝炎、HIV、性器カンジダ症、尖圭コンジローム、性器ヘルペス、膣トリコモナスなどが含まれます。今回はその中でも上海で比較的よくみられるものについて説明します。
▲尿路の症状のあるもの
※クラミジア感染症
- 女性が最もかかりやすいSTDで病原体は原虫です。尿道、膀胱、膣などに感染します。症状は局所の痒みや発赤、排尿時痛、血尿などですが、比較的症状が軽くても、周辺の子宮頚管、骨盤膣などに炎症を伴う場合があるので、要注意です。
- 男性の場合は尿道炎、膀胱炎、精巣上体炎を起こすことがあります。
- 感染力が強く一回のセックスでの感染率は50%と言われています。そのため、パートナー間のピンポン感染(病気の受け渡し)に注意する必要があり、パートナーのどちらかの感染が確認された場合はもう一人も必ず受診する必要があります。
- あらゆるセックスで感染が起こり、他の臓器に感染し肺炎、咽頭炎などを起こす場合があります。
※尿道炎(非クラミジア、非淋菌)
- 男性に最も多いSTDで、多くは大腸菌などの細菌です。尿道、膀胱などに感染します。症状は排尿時痛、膿尿などです。女性もかかりやすく、子宮頚管炎になることがあります。
これらのSTD(クラミジア感染、尿道炎)は抗生物質などの投与で治療できます。
▲その他の症状のあるもの
- 尖圭コンジローム:ウィルス感染によっておこり小さなイボ状の突起(鶏のとさか様)が性器、肛門、口唇などにできる。
- 性器カンジダ症 :真菌感染。白いオリモノができる(男性はかかりにくい)。
- 性器ヘルペス :ウィルス感染。性器周辺や肛門、口唇などに小さな水疱が集まって多発する。
これらのSTDは比較的軽症で早期に治療すれば完治できます(ヘルペスを除いて)。できるだけ早く医療機関に相談してください。
▲生命にかかわるSTD
- HIV感染症:ご存知のエイズです。同じウィルス感染でもB型肝炎などに比べて感染力は弱いといわれていますが、致死率が高くとても危険なSTDです。
- B型肝炎 :血液、唾液などから感染し、感染力が非常に強いといわれています。B型肝炎キャリアから感染します。感染した場合、劇症肝炎になるリスクやキャリアになり、肝硬変、肝臓ガンになるリスクがあります。
上海の医療機関で診断可能ですが、治療についてはより高度な治療のできる国への移動が勧められます。
▲STDの予防法
一般的な予防法を下記にまとめました。ご参照ください。
1.禁欲。最も有効な予防法はこれですが、あまり現実的とは言えません。
2.パートナーを限定する。複数の相手とセックスをすると感染の可能性が増えます。
3.コンドームを使用する。最も確実ですが100%ではありません。
4.セックスの前後に排尿する。尿路の感染を防御します。
5.寝具を清潔にし、セックスの前後に体を洗う。
6.体調の悪い時にセックスしない。感染に対する抵抗力が低い時には病原体の感染力が強まります。
7.検査を受ける。
◎過去のドクターワンポイントアドバイスはホームページでもご覧いただけます。
http://www.greenclinic.com.cn/clinic/links.htm
今月のQ&A
Q:STDの主な症状は?
A:女性の場合は、おりものの異常や陰部の痒みや痛み、排尿痛などです。男性の場合は、排尿痛や尿道か
らの膿(うみ)などです。 クラミジア感染のように病気にかかっても症状が出ない場合があります。パートナーがかかったら検査を受けるようにしましょう。ほとんどのSTDは放っておいても、自然治癒することはまずありません。感染しているのに症状がないために放置しているとクラミジアや淋菌の感染では不妊症になる危険性があります。
Q:STDに感染すると、HIV(エイズウィルス)に感染しやすくなる?
A: STDに感染すると、粘膜が炎症を起こした状態になり、抵抗力が落ちて細菌やウィルスが侵入しやすくなり
ます。STDに感染していると、HIVに感染する危険性が通常に比べ3〜5倍増加するといわれています。
Q:STDは市販薬で治る?
A:上海では,抗生物質を医師の処方なしに貰うことはできません。お手持ちの抗生物質も各々病気によって用途が違います。また一部のSTDの薬は処方なしで貰うことができますが、医師の診断を受けずに薬を使う
ことは危険を伴います。疑いがあるときは医療機関に受診してください。
Q:STDの診察は何科を受診?
A:STDかもしれないと思ったら、当院では女性は産婦人科(婦人科)(尿路系の症状の場合は、一般診療科)、男性は一般診療科を受診してください。現地の病院では皮膚科を受診してください。HIVなどを除いて多くのSTDは早めに治療すれば治りやすく、それぞれに有効な治療方法があります。
Q:グリーンクリニックではHIVの検査はできますか?
A:できます。外注検査のため、結果が出るのに1週間かかります。HIVに感染してから抗体ができるまでに6〜8週間かかるので、感染の可能性のある日から2〜3ヶ月以上たってから検査を受けてください。治療は国外で受けられることを勧めします。
Q:STDの検査や治療は海外旅行傷害保険が使える?
A:自覚症状があれば基本的には海外旅行傷害保険が適応されます。(自覚症状がなくても検査を受けておきたい時など)場合によって適応されないのもありますので、医師とご相談ください。
アップデート情報
▲ 年末年始・春節休診日のお知らせ
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